「バラ・ハラを越えて」(2018.11.25)

投稿日:11月 25, 2018 更新日:

エフェソの信徒への手紙4:1~6

保健師の伏見香代さんは、『福島に生きる』(中澤正夫著)の中で、「原発事故がもたらした最大の不幸は、いろいろなものがバラバラにされたことです。家族も、職場も、地域も。」と述べて、この被害を「バラバラ・ハラスメント」と命名されました。震災後7年8ヶ月を経て、この地域で感じることは、私たちがあらゆるレベルで断絶させられているということです。

「復興」という事柄ひとつでも、「原発事故を無かったことにしようとする国の御先棒担ぎだ」、という考えと、「故郷を取り戻そうとしている人の足を引っ張る者」という考えの板挟みにあって、どちらの立場にいてもストレスを感じる環境にあります。また、2年ほど前、除染作業員が数千人も町に来られた時に、「ガラが悪い」、「怖い」というレッテルを貼るような差別を感じ、暗澹とした思いに沈みました。

しかし、除染作業員の中から教会の礼拝に出席されるかたがおられ、その熱心さは私たち自身の励みになりました。また、この交わりをとおして、少なくとも、教会の方々の偏見は、払拭されました。この交わりをとおして、私達はあらためて、「教会」は人々の間の垣根を越えられる場所だと気付かされました。

 エフェソの信徒への手紙4章1節から6節のみ言葉に表されておりますとおり、私たちの罪を贖うための十字架と復活によって、私たちは一致できるものへと新しく作り替えられたのです。聖霊のはたらきによって、バラバラ・ハラスメントに対抗し、人々の間で小さくされた方々に仕えていけることができますように祈りましょう。

南相馬市原町教会牧師  中野 通彦